変わりつつある島、田代島 ◆◆◆◆◆◆

忘れられない顔

 

 帰りの船の中、私は昨夜の宿のおじいちゃんが言った言葉を思い出していました。「島に病院でも建でで、老人ホームにでもすればいいのになや。退職した医者でも呼んでなや。こごは年寄(とっしょ)りには最高などごなんだ。なんでもとれっぺす、ゆっくりでぎっぺす、最高なんだ」。おじいちゃんはさらにこう付け加えました。「網地島(あじ)さ病院でぎっからそっつさでも移って、毎日田代(たっしょ)ば眺めでっかなや」。ほほえみながらも、どこか寂しそうなおじいちゃんの顔を私は忘れることができません。


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