変わりつつある島、田代島 ◆

いざ、田代島…

 

 

 この日、大泊港で船を降りたのは私ひとりだけでした。島に足をのせて一番最初に目に入ってきたのは、故・石ノ森章太郎氏の『009』のキャラクターでした。島の案内地図の両側にそれは立っていました。しばらく案内板を見ている間に、辺りを見まわすとすでに人影はありません。ひとり取り残されたような気持ちを振り払い、いざ、田代島…。

 田代島は、北上川河口から東南約15kmの海上に位置する周囲12km程の孤立小型の離島。北東に大泊、南東に仁斗田とふたつの集落があり、現在人の住む家は58軒で、人口は100人弱。その数は年々減る一方です。

 大泊地区を歩いてみてまず一番感じることは、空き家の多さです。しかもなかなか立派な家が多く、以前は裕福だったことを物語っています。そして小島特有の坂道。平らなところは殆どありません。さらに、起伏のある土地に家を建てているため、当然その間の路地も複雑になっています。人のいない坂道だらけの入り組んだ路地を歩いていると、異次元にでも舞い降りたような感じを覚えます。

 大泊から仁斗田へ、海岸に近い山道を歩きました。主要道路はほとんどが舗装されているようです。仁斗田に着くとそこはまさに漁村でした。しかも人がいます。そう、大泊から仁斗田まであちらこちらのぞきながら歩いていたので1時間位 はかかったものの、その間誰とも会わずに来たのです。


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